利休百首ならぬ、フラー百首 第99首
バックミンスター・フラー(1895-1983年)は、C60という炭素の同素体であるフラーレン (fullerene)という化合物の名前の由来になっています。
フラーの建築物であるジオデシック・ドームの骨組みとC60の共有結合の組み方が同じなのです。
このC60は1985年に発見され、他方、ジオデシック・ドームは1947年に考案され、1967年に開催されたモントリオール万国博覧会のアメリカ館が実際の建物としては有名です。
この事実は、フラーが卓越した才能を持っていたことを如実に示すものです。
そして、このような逸材は、今の私達にも有益な言葉を数々残してくれました。
「何かを変えるためには既存のモデルを時代遅れにする新しいモデルを打ち立てよ」
現在、工業技術などの陳腐化が問題となっていますが、それは既存の状態に甘んじていた結果である、ということをフラーは言っているかのようです。
「もとよりもなきいにしへの法なれど今ぞ極る本来の法」
(かつてはなかった茶の湯の体系ではあったが、今、あるべき形としての茶の湯の体系を完成させたことができた)
という利休百首の第99首と通じるところがあると感じられます。
千利休の時代以前は書院の茶が主流でしたが、利休は侘び茶を体系化したのです。
時代というものは変わっていくものですから、それに順応する必要があります。
さもないと、取り残されてしまうでしょう。