下萌

下萌とは、2月の銘としてよく知られたものです。

 

春が近づいてきて、草の芽が大地から芽吹き出してきている様を表現したものです。

茶杓の銘に付けられています。

 

「今よりは春になりぬとかげろふの下萌急ぐ野辺の若草」

『続拾遺和歌集』春上

 

「春日野の下萌えわたる草のうへにつれなく見ゆる春のあわ雪」

『新古今和歌集』、巻第1 春歌上、源国信

 

和歌の世界では、下萌えは、下燃えを連想させるようです。

つまり、人知れず恋い焦がれることとして、掛詞の関係になっていることが多いようです。

源国信の上述の和歌では、草が春の訪れを待ちわびていることを表しています。

 

「道のべの野原の柳したもえぬあはれ歎の煙くらべに」

藤原定家

 

これもまた掛詞となっています。

それから、この歌は、後鳥羽上皇の機嫌を損ねることになりました。

というのも、その7年前に後鳥羽上皇が藤原定家の家の柳を勅命で持って行ったからです。

 

また、俳句の季語にもなっているので、季節の変化を如実に表した言葉と言えます。

 

下萌の銘が付けられたお菓子もこの時季には作られます。

春めいたお菓子を楽しむのもよいものです。

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