姫路藩窯 東山焼
『姫路のやきもの 東山焼と永世舎』(山本和人著、海風社、2019年)という本を頂きました。
姫路藩の藩窯であった東山焼に関する書籍です。
東山焼についての書籍はとても少なく、これが実質的に2冊目になるようです。
幕末、文政5年(1822年)に徳川家斉の娘であった喜代姫のお輿入れに際し、東山焼の窯が現在の姫路市東山の地に開かれました。
姫路藩主の弟であった酒井抱一は、文政11年(1829年)まで生きており、彼は江戸在住でしたが何かしらの影響を与えていたのではないかと推察されます。
そして、東山焼は、天保2年(1831年)頃には、姫路城西隣の男山に移っています。
両窯跡は発掘調査もなされておらず、不明な点が多い焼き物です。
作風は、青磁や染付を中心としたもので「東山」「姫路焼」の銘が入っており、献納品が多く造られました。
やがて、安政年間になると民窯となり、衰退していきます。
明治10年(1877年)、旧藩士授産事業の一環として、永世舎が設立されますが、明治21年(1888年)までは作陶されたことが記録から分かります。
ここでは、コーヒーカップなどの輸出品も焼かれました。
兵庫で東山焼の展覧会がしばしば開催されるようですので、その折りには訪れてみてはいかがでしょうか。