ゆずり葉
千宗旦の削った茶杓に、ゆずり葉という銘があります。
下の方に穴が空いている共筒に、「ゆつりハ」と書かれていて、茶杓はごま竹が使われています。
現在、この茶杓は湯木美術館の所蔵となっています。
ゆずり葉は、トウダイグサ科ユズリハ属に属する常緑高木です。
雌雄異株となっています。
その名の由来は、河合醉茗(ゆずりは)(明治7年(1874年)-昭和40年(1965年))の『花鎮抄』「ゆずりは」という詩の冒頭で説明されています。
「こどもたちよ、
これはゆずりはの木です。
このゆずりはは
新しい葉ができると
入れ代わって古い葉が落ちてしまうのです。
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉ができると無造作に落ちる、
新しい葉にいのちを譲って—。
(以下、略)」
ゆずり葉の葉が入れ替わるのは、春から夏に掛けてですが、世代交代や子孫繁栄の象徴ともなっています。
年が改まる正月に、ゆずり葉が取り挙げられます。
鏡餅を飾る際、ゆずり葉の上に餅を置きます。
そして、年が入れ替わったこの時季に、ゆずり葉という銘は適したものです。
ゆずり葉昔という薄茶用の抹茶が売られています。
この時季には、相応しいものですので、使ってみたいと思います。