椿
椿は、炉の時季によく生けられる花です。
二名法ではCamellia japonicaとなる椿は、学術的にはツバキ科ツバキ属の常緑高木です。
また、海柘榴(つばき)という表記もあります。
本州、四国、九州、沖縄、台湾、朝鮮半島南部に自生しています。
椿にはとても多くの品種が存在します。
太神楽、西王母、初嵐、白侘助、曙、炉開、有楽などの種類が茶席ではよく用いられます。
椿は蕾の状態であるときに好んで生けられます。
その際、葉の数は奇数となります。
他方、その一種である侘助は花が小さく、花が開いた状態でよく生けられます。
それから、椿は意匠としてもよく用いられます。
北大路魯山人の椿鉢はその中でも特に有名なものです。
椿を題材としても、いろいろな椿鉢がたくさん造られています。
幾分抽象化されたその作風は琳派を意識しているように思われます。
また、椿の意匠の茶碗なども多く造られています。
18世紀の乾山色絵椿文輪花向付は、魯山人も参考にしたのではないでしょうか。
このように、古今の多くの作家が椿を題材とした焼物を残しています。
魯山人写しの椿鉢ならば、手に入るかもしれません。
これを普段使いで楽しむのもよいと言えるでしょう。