火箸
火箸は、炭手前の際に炭を炉や風炉にくべるのに、炭を挟んで掴むのに用います。
また、茶箱の月点前では香をたくのに用い、炭を掴むことありません。
そして、杓立に飾り火箸がある場合もあり、真の炭手前では実際に炭を挟みます。
炭手前に用いる火箸は、鉄製が多いですが、それ以外にも砂張、真鍮などの材質があります。
炉用は、熱対策として木製の柄が取り付けられていて、桑のものが多いですが、松、梅、桜などで造られたものもあります。
風炉用は、柄がなく、全て金属製となっており、炉用よりも長さが少し短くなっています。
そして、柄のない代わりか、象眼が施されているものもあります。
かつては、囲炉裏や火鉢が一般家庭で使われていたため、火箸もそれに伴って使われていました。
しかし、時代の流れで、炭を用いる囲炉裏や火鉢から、電気、ガス、灯油などのエネルギーを用いる暖房器機や調理器機に変わったために、火箸は茶道のようなところで使われるくらいになってしまいました。
そう考えると、なかなか感慨深いものがあります。
明珍火箸は、平安時代から続く甲冑師の明珍家によって造られているものです。
明珍火箸風鈴の音は、夏にはとても涼しげに感じられます。