玄々斎好 徳風棗

徳風棗は、実りの時季に茶会でよく用いられます。

 

裏千家11代家元である玄々斎のお好みの黒平棗で、蓋の甲に一粒万倍と玄々斎の筆跡の文字が銀蒔絵で書かれています。

そして、蓋裏には9個の籾が金蒔絵で描かれ、この中の3個が籾から弾け出そうとせんばかりの米粒が銀蒔絵で描かれています。

玄々斎の花押は盆付に朱漆で書かれており、8代宗哲の作になります。

 

一粒万倍とは、仏教の経典である報恩経に出て来る「種一万倍」に由来し、稲を表しています。

 

徳風とは、論語に中の「君子之徳風 小人之徳草」(君子ノ徳ハ風ナリ 小人ノ徳ハ草ナリ)に基づいています。

君子は徳の風をもって、人民という草をなびかせて教化するということです。

 

「季康子問政於孔子曰、如殺無道、以就有道、何如。孔子對曰、子爲政、焉用殺。子欲善而民善矣。君子之徳風也、小人之徳草也、草上之風必偃。」

(季康子、政ヲ孔子ニ問ウテ曰ク、如シ無道ヲ殺シテ、以テ有道ニ就カバ、何如。孔子対エテ曰ク、子、政ヲ為スニ、焉ゾ殺ヲ用イン。子、善ヲ欲スレバ、民善ナラン。君子ノ徳ハ風ナリ、 小人ノ徳ハ草ナリ。草、之ニ風ヲ上(くわ)ウレバ、必ズ偃(ふ)ス)

『論語』顔淵第12-19

 

一粒万倍日というものがありますが、物事を始めるのによい日ということです。

月に数日あるそうですので、何かを始めるのに縁起を担いでみてもよいでしょう。

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