暁の茶事
茶事には幾つかの種類がありますが、暁の茶事は、厳寒の季節に夜明けに執り行われるものです。
席入りは午前5時頃、ないしは午前4時頃になり、静かに時間が流れてゆく茶事の進行とともに徐々に外が白んでいきます。
この推移の風情を楽しむのが趣向ともなっています。
席入りが夜明け前なので、夜込みの茶事、とも言います。
辺りは暗闇のため、行灯の灯りで点前や所作を行います。
席入り後、まずは前茶が点てられます。
初炭の後、一端、釜を水屋に下げて、お湯を出して水を溢れるまで入れます。
こうして濡れた釜を再び、炉に掛けます。
そして、懐石を食べて湯の沸くのを待ちます。
この頃には白み始めて、窓の簾を巻き上げたり、突き上げ窓を開けたりして明かりを室内に入るようにします。
中立、後入りとなります。
場合によっては続き薄茶となることもあります。
主客ともによく心得がないと、光の推移などがうまく捉えられないかもしれませんが、趣のある風情を楽しむためには実践するしかありません。
暁の茶事の席入りの時間に遅れないように気をつけたいものです。
亭主はこのときのために大変な準備をしています。
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