大円盆
大円盆は、大円之真と大円之草という奥伝の点前で用いられるお盆です。
大円盆は、茶の湯の初期に台子や違棚飾に用いられ、『君台観左右帳記』や『御飾記』にも確認されます。
しかし、その扱いは長い間に忘れ去られてしまいましたが、裏千家13代家元の円能斎が秘伝書を参考にして、再興されました。
これが、大円之真と大円之草で大正12年(1923年)に発表されました。
そのため、裏千家独自の点前となっています。
それに伴い、大円盆も復活することになりました。
円能斎好みの大円盆は、やや大きめで直径が一尺一寸五分(約34.8 cm)となっています。
そのため、現在、大円之真を行う際、台子の前に置くには少し大きく、置きづらくなっています。
そのため、現在、淡々斎好みの大円盆を使うことが多くなっています。
これは、直径が一尺(約30.3 cm)となっています。
裏千家11代家元の玄々斎が和巾点を再興したことと、円能斎が大円之真と大円之草を再興したことは、何かしら共通するものがあるかもしれません。
いずれも裏千家にしかない点前となっています。
大円之真と大円之草をする際には、円能斎が再興したときの心情に思いを馳せてしまうかもしれません。
戦後の茶の湯の興隆の一因は、ここにあると思われます。