雲悠々水潺々
雲悠々水潺々(くもゆうゆう みずせんせん)
夏の季節によく茶席で掛けられる文言です。
雲がゆったりと動いていて、水がさらさらと流れている、様子を表しています。
無為自然という生き方そのもののようです。
欲望や執着は持たずに、やるべきことはやった上で、おおやかに自然のままに生きることは、本当に素晴らしいことです。
悠々と潺々が緩急の動的対比を示していて、雲と水は、上下の空間的対比を示しています。
そして、雲も水も構成物質はH2Oです。
同じ水分子も置かれている環境や場所で、かくも違うものであり、また、うまく順応しています。
宇宙の理を見ているようです。
宋代の圜悟佛果禅師の語録である『圜悟録』には以下のように記されています。
「韓觀察請上堂。大衆。日沈沈風颯颯。萬世只如今。雲靉靉水潺潺。當處全體現。」
(韓観察上堂ヲ請フ。大衆。日ハ沈沈、風ハ颯颯。万世只ダ今ノ如シ。雲ハ靉靉、水ハ潺潺。当処ニ全テ体現ス。)
靉とは、雲がたなびくさまを示しています。
悠よりも靉の方が動きのないように思われます。
悠悠自適といきたいものです。
但し、その前にしかるべきことは遂行して、それに対する結果を待つ状態に至ることが必要となります。
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