蓮始めて開く
本日は、七十二候の蓮始開(はすはじめてひらく)です。
実が蜂の巣のようなので、はちすと呼ばれましたが、はすは音が変化したものです。
蓮の実は、香合のモチーフとしてよく取り上げられます。
また、形物香合相撲番付表には、蓮に関する香合が幾つかあります。
西一段目前頭十枚目、呉洲 赤絵四方入
東三段目三段目十二位、交趾 玉取獅子
東三段目三段目二十位、青磁 酒會
西四段目四段目四位、呉洲 荷葉
西四段目四段目五位、呉洲 菊鷺
東四段目四段目十九位、交趾 蓮
東五段目五段目十六位、交趾 蓮肉
西五段目五段目二十三位、染附 長角
蓮は汚い泥の中にあってもきれいな花を咲かせます。
『維摩経』に、泥中の蓮という言葉の元になった箇所があります。
「譬如高原陸地不生蓮花、卑湿淤泥乃生此華」
(譬ヘバ、高原ノ陸地ニハ蓮華ヲ生セズ、卑湿ノ淤泥ニ乃チ此ノ華ヲ生ズルガ如シ)
仏教において、蓮は象徴的な花となっています。
煩悩の中で悟りを開くことの暗喩となっています。
それから、日本の浄土信仰では、一蓮托生という、善行をした者は死後、極楽にある同じ蓮華に身を託して生まれ変わる考えがあります。
朱に交わって赤くなるのではなく、泥中の蓮でありたいと思われませんか。