茶の湯では、藤は花としても使われますが、富士にも、不二にも通じることから、仮名表記の銘の場合、そのときの趣向に合わせて使うことができて重宝することがあります。

 

茶花としてよく使われる庭藤は、藤の近縁種です。

 

植物学的には、マメ科フジ属のつる性落葉木本で、つるが右巻きと左巻きのものが存在します。
右巻きがノダフジ系、左巻きがヤマフジ系になります。
淡紫色または白色の房状の花が垂れて咲く様は、とても可憐です。
ですので、万葉の時代から日本人に愛されてきました。

 

名物裂として有名な藤種緞子は、二重の入子菱が交互に配し織り出しされ、卍がその中にあります。
更に、梅花文も配されています。
藤は描かれてはいませんが、藤種家の所伝が名の由来と言われています。
大名物利休丸壺茶入の仕覆の裂地として使われています。

 

香道の志野流では、香木と銀葉を入れるものとして志野袋があり、紐は12ヶ月の花結びをすることになっていて、3月は藤となっています。

 

また、花札には、4月の絵柄として、藤が描かれています。
そして、4月の誕生月花が、藤となっています。

 

藤は、日本人に古から親しまれた花で、茶の湯に限らず、 香道など、日本文化に深く根ざしているようです。

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