夏の女神 筒姫
春の女神は佐保姫、秋の女神は竜田姫ですが、夏の女神は、筒姫と言うようです。
そして、冬の女神は、宇津田姫と言うようです。
しかしながら、筒姫に関する謂われは不明な点が多いのです。
陰陽五行説から、春は東、地理的には佐保山、秋は西、地理的には竜田山となります。
夏は南になりますが、平城京の南にある夏の象徴となる地理的な名所もよく分かりません。
更に、筒姫という名前の由来もどこから来ているのか、分からないのです。
根拠となりそうな和歌にも佐保姫や竜田姫のように登場してくるわけではないようです。
但し、古墳時代に、筒形銅器と呼ばれる用途の不明である古墳の副葬品が造られ、古墳を飾ったようです。
興味深いことに、古墳時代前期(4世紀)後半から中期(5世紀)前半にかけて造られた古墳から出土しています。
それに、大和にある中小規模の古墳から出土する事例が多く、武具と一緒に副葬されているというのです。
まさに、平城京の南に当たります。
とは言うものの、まったく筒姫に通じるものはありません。
また、日本書紀に磐筒女命(イワツツメノミコト)が登場し、磐筒男神と子である経津主神(フツヌシノカミ)を産みます。
この経津主神は、春日大社本殿の第二殿に祀られているのです。
はたまた、夏の暑さを潤す筒井筒かもしれません。
伊勢物語の第23段は、大和国が舞台のようです。
たまには古代のロマンに思いを馳せるのもよいではありませんか。
筒姫を巡る思考をお楽しみください。
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