五徳
五徳とは、輪に爪のある足が3本付いたもので、輪を下に向けて風炉や炉の中に置いて、その上に釜を据えるための道具です。
もともとは、火床(くとこ)や竈子(くどこ)というもので、鼎のように足が3本あって、輪を上にして、この上に鍋や釜を置いて使いました。
しかしながら、風炉や炉の中で、輪が上を向いていると炭を継ぐのに邪魔となります。
そのため、茶の湯では、竈子の上下を入れ替えて、輪が下になるようにして置くようになりました。
そして、釜が安定するように爪が設けられました。
それだけではなく、名称も逆さまになって、「ごとく」となりました。
この際、五徳の字が当てられました。
一般的に、五徳とは、仁、義、礼、智、信を意味しています。
それ故、ごとくに五徳という字を当てたのではないかと考えられます。
五徳にも幾つかの種類があります。
まず、炉では大きく輪が切れていなく、風炉では小さくなっていて輪が切れています。
爪の形状において、長爪、中爪、小爪、笹爪、鬼爪などあります。
また、足に虫が食べたような跡のある虫喰五徳などがあります。
席入りの際、炉の炭手前の際に、五徳を注意深く見てみるのも興味深いものです。
いろいろは仕様があることに気が付かれるのではないでしょうか。