楓蔦黄ばむ
本日は、七十二候の楓蔦黄(もみじつたきばむ)です。
もみじ、つた、が紅葉する時季になりました。
いよいよ秋で最も美しいときを迎えようとしています。
植物は葉にある葉緑体で光合成しています。
この葉緑体にはクロロフィルという色素から成る葉緑素を含みます。
しかし、段々温度が下がってくると光合成の効率も低下してきて、葉自体が消費するエネルギーも賄えなくなり、また、乾燥した冬では葉から水分が蒸散すると幹が乾いたりします。
そのため、冬にあると木は落葉して、栄養不足と水分不足から身を守るのです。
そして、落葉する過程の途中が紅葉なのです。
すなわち、クロロフィルの新陳代謝が抑制されて分解されるだけになり、その他の色素が相対的に目立つようになります。
また、別の色素が作られるようにもなります。
黄色ならば、今まで色が隠れていたカロテノイドという化合物です。
赤色ならば、葉と枝の物質交換がコルク層の形成で妨げられた結果、新たにアントシアンという化合物がブドウ糖と紫外線の反応で生じるのです。
この紅葉という色鮮やかな現象は、四季のある日本に住む人々を古から楽しませてきました。
茶の湯にとって、紅葉は趣向や演出には欠かせないものとなっています。
温暖化でなかなか紅葉が始まらないという事態が起こっているようです。
季節感をいつまでも楽しむことができればよいと思います。