湘南亭 庵号解読

湘南亭は、苔寺として知られている西芳寺にある茶室で、現在存在するものは千少庵が再興したものと言われています。

 

重要文化財に指定されている、長4畳台目の茶室です。

点前座の勝手付に床がある亭主床という様式で、露台となる広縁が庭に張り出しています。

そして、躙り口はなく、貴人口となっています。

 

西芳寺は、飛鳥時代の聖徳太子の別荘のあった場所に奈良時代に行基が寺に改めたのが始まりとされ、法相宗で西方寺と称しました。

それが、法然により浄土宗となり、やがて、夢窓疎石により禅宗である臨済宗となり、西芳寺という名称になりました。

 

 

西芳寺には、黄金池という池があり、その北側には潭北亭という茶室があり、その南側に湘南亭があります。

更に、開山堂である指東庵、本堂である西来堂もあります。

 

湘とは、中国の湖南省を流れる湘江のことで、北流して洞庭湖に注ぎます。

また、かつて湖南省の辺りは禅宗が盛んな地域で、それに因んで鎌倉のような禅宗の盛んな地域を湘南という説もあります。

そして、潭江という川も存在します。

実際は、『碧巌録』第18則「忠国師無縫塔」に基づいて、夢窓疎石が池や伽藍の名称を付けました。

 

「粛宗帝、忠国師に問ふ、百年の後所須何物ぞ。国師云く、老僧が与めに箇の無縫塔を作れ。帝云く、請ふ師塔様。国師良久して云く、会すや。帝云く、不会。国師云く、吾に付法の弟子耽源といふものあり、却って此事を諳んず。後帝耽源に詔して此の意如何と問ふ。源云く、相の南、譚の北、中に黄金有って一国に充つ。無影樹下の合同船、瑠璃殿上に知識なし。」

 

つまり、湘南亭は、仏心の表された世界の一要素ということになり、それが庵号になっているのです。

 

湘南亭は、少庵亭からきているという俗説もあるようです。

世界遺産である西芳寺に訪れて、湘南亭を見てみるのもよいのではないでしょうか。

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