釜の形
釜をかける、在釜(ざいふ)という表現があるように、釜は茶の湯では重要な道具となっています。
釜の形状には、実に様々なものがあります。
大きい釜は炉の時季に、小さい釜は風炉の時季に使います。
透木を使う透木釜、釣り釜として筒釜や雲龍釜も用いられます。
真形(しんなり)釜、丸釜、平釜、富士釜、鶴首釜、四方釜、阿弥陀堂釜、筒釜、雲龍釜がよく知られたものですが、瓢箪釜、平蜘蛛釜、車軸釜、口四方釜、乙御前釜、布団釜、甑口釜、茶飯釜、尻張釜などの種類が形に関して存在します。
芦屋釜は真形で、天明釜は丸形が多いです。
辻与次郎は、三条釜座において京釜の創始者である西村道仁に師事し、千利休の釜師として利休好みの釜を造りました。
そして、利休が辻与次郎に造らせた利休好みの釜として、阿弥陀堂釜、丸釜、尻張釜、万代屋釜、雲龍釜があります。
本来、釜は透木釜のように羽が付いたままでしたが、羽を落とした釜を利休の頃から用いるようになり、与次郎も多くの羽落釜を造っています。
奇行で知られている丿貫という茶人は、手取釜1つで雑炊を炊くだけでなく、茶の湯に用いる湯も沸かしていました。
お気に入りの釜を大事に使っていきたいと思います。