『帝室論』を話題とした煎茶の夜咄
本日は、京都の哲学の道界隈にある田能村直入ゆかりの建物において、煎茶の夜咄に参加してきました。
その話題として、『帝室論』が取り挙げられました。
『帝室論』は、明治15年(1882年)に、福沢諭吉により著されました。
慶應義塾大学メディアセンター デジタルコレクションで、インターネット上で閲覧することが可能です。
論点は、明治維新後、それまでの伝統的な技巧や技術が廃れていく風潮の中、これらを存続させるためには帝室の力が必要であるということです。
職人や絵師などを支えていた大名や公家というパトロンがいなくなり、その生業をいかにして継続させて、結果、その技術や技法を伝承していくかが問題となりました。
天皇の威信で作品や製品を製作させると共に、資金援助を行うことによって生活を安定させることで、技術伝承を図りました。
しかしながら、技術や技法の伝承という問題は、現在でも見られていることです。
そして、明治期ほど、今は皇室の威信を絶大であるとは言いがたい状況です。
そのため、新たな方法が求められています。
職人技術という伝統を継承していくには、コラボレーションによって今までとは違った切り口で、新たな作品や製品を生み出していくことに成功している事例もあります。
これは、イノベーションであるということができます。
茶の湯に関しても、伝統に革新を加えて継続してきたことと考えられます。
更に将来に茶の湯を残すためにも、今の世代が尽力することが必要であると思われます。