明歴々露堂々
明歴々露堂々(めいれきれきろどうどう)は、中秋の名月の頃に掛けたくなる文言です。
「明歴々露堂々」
明らかにはっきりとしており、堂々と姿を見せているということです。
真理も実ははっきりとして堂々と存在しているが、実のところ、それを見る者の目が曇って見えないことがあるものです。
しかし、確実に存在しているのです。
『五灯会元』第19巻に、「問、明歴歴、露堂堂、因甚麽乾坤收不得。師曰、金剛手裏八棱棒。」
(問フ、明歴歴、露堂堂。甚麽(なに)ニ因リテカ乾坤収メ得ザル。師曰ク、金剛手裏ニ八稜ノ棒。)とあります。
乾坤とは、天地や陰陽という理を表します。
金剛手菩薩は、金剛杵を持つ菩薩で、その手にある八角形の棒により、人間の煩悩を打ち砕きます。
そして、煩悩が打ち砕かれた結果、それまで隠されていた仏性が見えるようになるのです。
その状態が、まさに明歴々露堂々なのです。
かくありたいと思います。
今年の中秋の名月は、9月15日で、本日がその日に当たります。
月に雲が掛からずに、その姿を見せてくれるとよいものです。