鐶付の意匠

鐶付(釻付)(かんつき)は、釜の胴の両側に付けられた鐶を通す穴を開けた耳のようなものです。

実に様々な形が存在していて、とても興味深いものなのです。

 

鬼面、尼面、遠山、獅子面、蜘蛛、兎、亀、海老、貝、蝉、蜻蛉、松笠、竹、蕨、桐、菊、栗、茄子、賽、笛などが知られています。

 

真形釜が多い芦屋釜の鐶付は、鬼面がほとんどですが、その他には獅子面などがあります。

また、天明釜(天命釜、天猫釜)の鐶付は、鬼面、獅子面、遠山などがあります。

 

そして、カンブリア期のように近世以降になると、鐶付はその意匠をさまざまに進化させていきます。

動物、魚介、植物、小物などが登場してくるようになります。

 

職人の遊び心が感じられます。

地紋とのバランスも重要かもしれません。

 

鐶付は対照かと思われますが、実際には、両側で違った向きや意匠の釜も造られています。

これを違い鐶付と称しています。

 

また、道具を拝見に出す際に、鐶付の位置が指標として機能することもあります。

釜の上げ下げのために鐶を通すという本来の役割以外にも、意匠の種類だけではなく、機能も多岐に渡っているようです。

 

引き手金具にも通じるものがあると思われます。

日本文化が細工に凝縮しているのかもしれません。

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