寒山拾得
寒山拾得とは、唐代の隠者である寒山と拾得のことです。
後世、画題としてよく取り上げられました。
寒山が経巻を開き、拾得が箒を持つ図が禅画の画題となっています。
寒山は山中に隠棲して、天台山国清寺に出入しては、この寺の食事係であった拾得と交際し、彼からおこぼれ物を頂戴して食べていました。
国清寺の僧である豊干は拾得を文字通り拾って養育していました。
このように非常に浮き世離れした生き方をしています。
寒山詩から取られている文言には以下のようなものがあります。
「白雲抱幽石」
(白雲幽石ヲ抱ク)
「泣露千般草 吟風一様松」
(露ニ泣ク千般草 風吟ズ一様ノ松)
「微風吹幽松 近聴声愈好」
(微風吹幽ヲ松ク 近ク聴ケバ声愈好シ)
「吾心似秋月 碧潭清皎潔」
(吾ガ心秋月ニ似タリ 碧潭清クシテ皎潔タリ)
また、森鴎外と井伏鱒二が小説の題材とし、坪内逍遙が舞踊劇の題材としています。
小説で読むのが寒山拾得の話を理解するのには最適かもしれません。
その後に、茶席に掛けられた墨跡を見れば、理解の度合いが違ってくるかもしれません。
隠者のように生きていければよいのですが、なかなかそのようにはいきません。
詩禅一如とまではいかなくとも、その少しは具現化してみたいものです。