借景 湖東

 

―この間の琵琶湖行きはよかったよ。湖畔の宿で、君と話そうと思って出掛けたが、
いっこうに肝心の君とは話さなかった。十一面観音を見るのに忙しかった。
―そうよ、お父さんたら、すぐ感激してしまうんでですもの。
―初めて十一面観音というものをいいと思った。
―四体だけしか、ごらんにならないけど、湖畔にはまだたくさんあります。
―大体、十一面観音を守っている土地の人たちがいいね。
―あの人たち、ほんとうにいいでしょう。
―素朴で、優しくて。ああいう美しい心を持った人たちが、この世にはまだ居るんだね
―たくさんおります。お父さんがご存じないだけ。偉くなろうとか、有名になろうとか、
お金を儲けようとか、そんな気持を全然持っていない人の中に、
優しい心を持った人もあれば、美しい気持を持った人もあります。
―きっと、そうなんだろうね。人間というものがある限り、
心のきれいな人はいるんだろうね。
―そうよ、お父さんの回りに少いだけ。
『星と祭り』   井上靖

 

紋左衛門は、つばを呑みこんで、声も出さずに見惚れた。何とふくよかな、荘厳な微笑であろう。やや、うつむきめに正面をむいた頭の上には、小さな仏像を中央にして、五体のみ仏の顔がならび、首まわりに三本のシワが形よく描かれ、三重まきにした首飾りと、糸をたらしたようにみえる衣の襞が肩から乳房のみえる胸もとへかけて、大きな数珠をかけたようにたれている。片手は、胴につけ、片手は肘をまげて壺をもっている姿なのだが、くびれた胴が心もち左にまがってみえる色気に圧倒された。
『湖の琴』    水上勉

 

jyuichimenkannon

 

Après la Guerre Seçonde, Japon avait joi de prospérité économique il y a peu de temps. Mais les circonstances changèrent et les méthodes jusqu’alors ne sont pas courantes. L’atmosphère sociale ist très triste. Beaucoup de crimes atroces sont commis. Il faut qu’on accepte la situation actuelle et qu’on ait de la tranquillité d’esprit. Le moyen avec lequlle on les obtenit existerait excepté une religion.

向源寺(渡岸寺)の十一面観音に代表されるように、琵琶の周辺には、多くの十一面観音が、信仰の厚い地元の人々によって守り伝えられてきました。戦国時代には、持ち出して土に埋め、戦火から守ることもありました。そのような十一面観音と、是非とも、対峙してみてはいかがですか。

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