2023年8月13日 / 最終更新日 : 2023年8月13日 sehbi-an 日記 短編小説『美に憑かれし男・魯山人』 またもや身に降りかかってきた辛苦に絶句した。幼少から不幸せには慣れているが、辛いものはやはり辛いのである。「高みを行く人間は、大衆には決して理解されない。」と、気丈な北大路魯山人は、自らに言い聞かせるように言った。自分 […]
2022年10月1日 / 最終更新日 : 2022年9月30日 sehbi-an 日記 短編小説『不昧公奮闘記』 八雲立つ出雲国を見渡せる高台にある山荘に松平不昧は訪れ、眺望を愛でつつ、城下の菓子匠である面高屋の新作菓子を食べて茶の湯を楽しんでいた。松江藩で作られる菓子も京や金沢に引けを取らないものとなったことに満足していた。とき […]
2022年9月1日 / 最終更新日 : 2022年10月1日 sehbi-an 日記 短編小説『井上権左衛門・御細工所日記』 「私のなすべきことは全てなした。」と、既に老境にある井上権左衛門は、自分の夢が実現したことに満足し、これまでの道程を回顧して独りごちた。実に長い道のりであったが、有意義な人生であった。悔いはなかった。 慶長五年(一六〇 […]
2020年10月1日 / 最終更新日 : 2020年10月2日 sehbi-an 考察シリーズ 茶室における茶の湯代数幾何学、及び、非認知的事象の混成的存在性の考察 キーフレーズ「茶の湯の思想は茶室の思想的背景をなし茶の湯の制約は茶室を建築的に直接規定するのである。此意味で茶室を考察するには先づ茶の湯の思想と其性質を考察する事から初めなければならない。」(『建築様式論叢』、堀口捨己) […]
2019年10月1日 / 最終更新日 : 2020年5月23日 sehbi-an 考察シリーズ 茶の湯における分子生物学および進化論的な考察 キーフレーズ「〈自然〉によって十分に習練をうけ、そして生物は、よく適合した生活条件のもとにおかれるようになる。(中略)〈自然〉のもとでは、構造あるいは体質のごく軽微な差異でも、生活のための闘争における精密につりあった尺度 […]
2019年3月1日 / 最終更新日 : 2019年3月5日 sehbi-an 考察シリーズ 茶室という小宇宙を司る「気」の場の考察 キーフレーズ「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟ったと […]
2018年10月1日 / 最終更新日 : 2018年9月28日 sehbi-an 考察シリーズ 茶会の底流に潜むQuality by Designの考察 「上手にはすきと器用と功積むと此の三つそろふ人ぞよく知る」 利休百首の一首ですが、茶会や茶事を円滑に遂行するための心得であると言えます。 医薬品を製造する際、人命に関与する薬の品質が疎かになってはいけません […]
2016年11月24日 / 最終更新日 : 2018年9月6日 sehbi-an 考察シリーズ 香合の考察 「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」 『古今和歌集』よみ人知らず 古から日本人は香に関心がありました。 薫炉とは、上に衣を掛けて匂いを移らせるもので、正倉院の銀薫炉が有名です。 香 […]
2016年11月10日 / 最終更新日 : 2018年9月6日 sehbi-an 考察シリーズ 幕末の大名茶人・不昧公の考察 「子孫大切に致可き者也」とは、不昧公が嗣子である月潭に『雲州蔵帳』について遺戒したものです。 松平不昧(1751-1818 )は、名を治郷といい、1767年、松江藩7代藩主になりました。 治世の前半は藩政改革を実施して財 […]
2016年10月24日 / 最終更新日 : 2018年9月6日 sehbi-an 考察シリーズ 茶の湯に於ける感覚器官の考察 「美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを餘儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。事実、日本座敷の美は全く陰翳の濃淡 […]