宵風
今年の暑さは、例年よりも増して厳しいものとなっています。
これだけ暑いと熱中症対策として、エアコンを利用せざるを得ない状況です。
それ以外に涼を求める方法として、日暮れ近くに吹く風に当たってみることがあります。
夕風による涼は、とても心地よいものです。
夕風の発生する原因は、海陸風、および、季節風にあります。
この両者が合わさったものが夕風を形成しています。
昼は、海よりも陸の方が暑いので、陸の空気が上昇して海から陸への風が生じます。
そして、夜は、陸よりも海の方が暑いので、海の空気が上昇して陸から海への風が生じます。
その変わり目の無風状態が凪です。
この現象がもっと広域で起こったものが、季節風です。
しかし、日本の夏の季節風はあまり寄与しておらず、冬の北西の風が想起されます。
『週刊朝日』(昭和9年8月)、「夕凪と夕風」、寺田寅彦
「東京という土地には正常の意味での夕凪というものが存在しない。その代りに現れる夏の夕べの涼風は実に帝都随一の名物であると思われるのに、それを自慢する江戸子は少ないようである。東京で夕凪の起る日は大抵異常な天候の場合で、その意味で例外である。」
また、打ち水で、気化熱を奪ってもらって気温を下げるという涼もあります。
ところで、以下のようなお菓子を食べたりして、お茶を楽しみました。
主菓子 宵風、鶴屋吉信製(京都)
銘々皿 デルフト焼(18世紀)
干菓子 うちみず 豊島屋(鎌倉)
干菓子器 四方盆 煌又造
それでは、打ち水をしたり、夕風にあたったりしてみてはいかがでしょうか。