藤波
薄紫の藤の花房が一陣の風に波のように揺れる様を、藤波と形容します。
また、これから、藤の花を藤波とも称します。
可憐な藤は、昔から日本人に親しまれてきました。
万葉集にも藤が題材となっているものがあります。
藤奈美乃 影成海之 底清美之都久石乎毛 珠等曾吾見流
(藤波の影なす海の底清み 沈く石をも玉とぞ我が見る)
『万葉集』巻第19・44199、大伴家持
多祜乃浦能 底左倍尓保布 藤奈美乎 加射之氐将去 不見人之為
(多胡の浦のさへにほふ藤波を かざして行かむ見ぬ人のため)
『万葉集』巻第19・4200、内蔵忌寸縄麻呂
天平勝宝2年(750)4月12日、氷見市にかつて存在したとされる湖が舞台となっています。
大伴旅人の長男であった大伴家持は、越中守として、天平18年(746)8月から天平勝宝3年(751)7月まで富山に赴任していました。
その間、多くの和歌を残しており、万葉集には223首が越中時代のものとして収載されています。
万葉集には家持の歌が全部で473首あるので、歌人として、越中時代は彼にとって充実したものであったと考えられます。
藤波神社に、上記の家持の歌の歌碑があります。
ところで、以下のようなお菓子を食べたりして、お茶を楽しみました。
主菓子 藤波 薫々堂製(大阪)
銘々皿 鈍阿焼
それでは、風に揺れる藤の花をお楽しみください。