菊は、品種改良によって一年中楽しむことができます。

そして、昔から日本で楽しまれてきた花で、現在でも各地で菊祭りが行われています。

菊祭りは、10月から11月にかけて開催されていることが多いので、菊の季節はこの時期が盛りであると考えられます。

 

古典菊は古くから栽培されてきました。

嵯峨菊は京都の大覚寺で、伊勢菊は伊勢国司の北畠満雅または伊勢神宮の斎王によって栽培されていました。

江戸時代になると花卉栽培が流行して、江戸菊、肥後菊などが育てられました。

いわば、ご当地の菊です。

 

それから、皇室の紋章にもなっていることから、菊は日本において特別な扱いを受けていることがうかがわれます。

 

ところで、以下のようなお菓子を食べたりして、お茶を楽しみました。

 

kiku-omogashi

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主菓子 菊日和 薫々堂製(大阪)

銘々皿 菊に網目文深皿 オールド香蘭社造

 

干菓子 きく 豊島屋(鎌倉)

干菓子器 四方盆 煌又造

 

菊の節句以外にも、菊をたのしんでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

『野菊の墓』 伊藤左千夫

野菊がよろよろと咲いている。民さんこれ野菊がと僕は吾知らず足を留めたけれど、民子は聞えないのかさっさと先へゆく。僕は一寸脇わきへ物を置いて、野菊の花を一握り採った。

民子は一町ほど先へ行ってから、気がついて振り返るや否や、あれッと叫んで駆け戻ってきた。

「民さんはそんなに戻ってきないッたって僕が行くものを……」

「まア政夫さんは何をしていたの。私びッくりして……まア綺麗な野菊、政夫さん、私に半分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き」

「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き……」

「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好このもしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」

「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」

民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。

「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」

「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」

「それで政夫さんは野菊が好きだって……」

「僕大好きさ」

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