好文木

梅は、別名、好文木(こうぶんぼく)と言います。
三国時代を終わらせた晋の初代皇帝である武帝・司馬炎が学問に勤しんだときは梅の花が咲き、学問を怠ると梅の花は咲かなかったという故事に由来します。
『晉起居注』という書物が典拠となっているようですが、この書物は散逸しており、これは偽書で好文木という言葉は日本人が創作したという説もあります。
『東見記』で、『晉起居注』の好文木の故事を引用されていますが、本書は儒者である人見壹(卜幽軒)が貞享3年(1686年)に著したものです。
しかし、それよりも先、文禄4年(1595年)に山科言経や五山の僧によって書かれた謡曲百番の語句を注釈した『謡集』では、『晉起居注』が典拠としつつも、晋の哀帝が当事者であるとしています。
鎌倉中期の教訓説話集である『十訓抄』が初出のようで、「唐国の帝、文を好み給ひければ開き、学問怠り給へば散りしをれける梅は有りける。好文木とぞ云ひける。」と書かれています。
実際問題として漢籍には、好文木という言葉はないようです。

さて、「勤倹は治生なり 謹謙は保身なり 読書は広智なり 知足は享楽なり 寡欲は延寿なり」と白川楽翁公こと、松平定信が言っています。
学問をして梅を咲かせてみたいものです。

以下のような趣向でお茶を楽しみました。

寄付待合
軸 梅 鈴木宗保(日々庵)筆

本席
軸 「勤倹治生謹謙保身読書広知 知足享楽寡欲延寿」 益田鈍翁筆
花  岩根絞椿
花生 南蛮粽
敷板 黄金壇薄板
香合 赤楽面匣香合 大野鈍阿造
釜  亀甲地紋真形羽付釜 敬典造
炉縁 掻合塗
風炉先 更紗(バティック) 紺々堂製
棚 更好棚 可映作
水指 南蛮縄簾水指
茶碗 志野平茶碗 大野鈍阿造
古袱紗 撫子紋
茶入 備前火襷肩衝 小西陶蔵造
仕覆 利休梅緞子 龍村織
薄器 梅月棗 一后一兆造
茶杓 初音 立花大亀老師
蓋置 槍梅蓋置 福森阿也造
建水 唐銅フエゴ 淨雲造
主菓子 菜の花 福壽堂秀信製(大阪)
菓子器 菓子器 一閑縁高 安本表雲斎造

茶碗 瀬戸麦藁手茶碗
茶杓 梅の花 二代池田瓢阿造 「うめのはな にほひのちかくみえつるは はるのとなりのちかきなりけり」 紀貫之
干菓子 福梅 蕨 河藤製(大阪)
干菓子器 古満盆 平安象彦造

みなさまも、梅を楽しまれてはいかがでしょうか。

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