冬枯れ
木々の葉が枯れている様は、いかにも寒々しいものです。
この情景は、冬枯れと呼ばれています。
景気の悪い時期も、冬枯れと表現されます。
しかしながら、このようなマイナスイメージは表面的なものとも捉えることができます。
その一人に、吉田兼好がいて、随筆に冬枯れについて記しています。
「ふゆがれのけしきこそ、秋にはをさをさ劣るまじけれ。汀(みぎわ)の草に紅葉の散り止まりて、霜いと白うおける朝、遣水(やりみず)より烟(けぶり)の立つこそをかしけれ。年の暮れ果てて、人ごとに急ぎあへるころぞ、またなくあはれなる。」
『徒然草』19段、吉田兼好
つまり、寒い冬でなければ起こらない現象に着眼して、その情趣を楽しむことが可能なのです。
これは、人生そのものにも当てはまることではないでしょうか。
ところで、以下のようなお菓子を食べたりして、お茶を楽しみました。
主菓子 冬枯れ 薫々堂(大阪)
菓子器 一閑縁高 表雲斎造
それでは、寒い時季ですが、その時季ならではの情趣をお楽しみください。