玄々斎好 春秋七草棗
春秋七草棗(しゅんじゅうななくさなつめ)は、玄々斎好の溜め塗りの平棗で、春と秋の草花が金蒔絵で描かれています。
春草は、土筆、菫、 レンゲ、蕨、蒲公英、福寿草、桜草になります。
秋草は、芒、萩、桔梗、葛、女郎花、我亦紅になります。
菫と桔梗に紺青の色漆が使われています。
棗の内側は黒で、8代宗哲の作になります。
春秋七草茶箱も玄々斎好として、8代宗哲と11代一閑の合作で造られています。
仕組まれた棗は春秋七草棗ですが、茶筅筒、茶巾筒、香合にも、春と秋の草花が描かれています。
更に、立方体に近い形状をした一閑張の箱にも、春と秋の草花が描かれています。
茶道資料館の平成27年新春展「茶箱を楽しむ」で展示されていました。
現在、写しを見ていると、春秋七草棗単独ではなく、春秋七草茶箱として製作・販売されています。
従って、春秋七草棗は、春秋七草茶箱から離れたものと考えるのがよいかもしれません。
春の七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)、秋の七草(ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ)と比べると、春草は茶の湯の情趣に溢れた草花が描かれています。
春秋七草図というものは、よくある意匠のようです。
「寿老・春秋七草図」酒井抱一作などが知られています。
春秋七草棗に描かれている秋草は6種類しかありません。
七草とするためには1種足りませんが、その1種に何を選ぶかは人それぞれかもしれません。