鐶(釻、かん)とは、環状をなした金属製品の総称になります。

 

しかしながら、使用頻度から、鐶と言えば、釜鐶をまず思い浮かべてしまいます。

なるほど、釜の蓋の摘まみである掻立鐶は、環状の金属製品でした。

また、羽織と羽織紐を繋ぐのに使うS鐶というのも、言われてみれば納得がゆきます。

 

それでは、茶の湯において鐶の代表とも言える釜鐶に関してみていくことにします。

釜の上げ下げをする際、鐶付の穴に通して使うものが鐶になります。

そのため、穴に通すために鐶一端が切れた環状になっており、2つの組になっています。

 

鐶の素材としては、鉄が一般的ですが、南鐐、砂張、真鍮などがあります。

水屋で使う鐶は、柔らかい素材である真鍮製のものが大概使われます

 

鐶の形状には、幾つか種類があります。

大角豆(ささげ)鐶、捻り鐶、竹節鐶、巴鐶、蜻蛉などが造られています。

 

鐶の打ち方には、石目、槌目、空目があります。

また、菊桐、松竹梅、青海波などの模様が象嵌された鐶もあります。

 

炭手前の道具として欠くことのできない鐶ですが、形状や象嵌を客は遠目からしか拝見できないのは残念なことかもしれません。

とはいうものの、炭手前の際に、羽箒などの他の道具とともに、鐶についても聞いてみればよいことでした。

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