舟花入
舟花入は、床の間の花蛭釘から吊して使う花器のことです。
場合によっては、置いても使うことができます。
南蛮砂張釣舟花入の天下三舟として、「針屋舟」、「松本舟」、「淡路屋舟」が知られており、更に、「茜屋舟」「艜舟」を加えて天下五舟とも言われます。
「針屋舟」は、明時代に作られた三日月形の砂張の舟花入です。
千利休の弟子であった針屋宗春が所持していたことに因んだ銘です。
天下三舟の中で一番大きくて総長35 cm、幅22 cmになります。
針屋宗春―木下肥後守―冬木家―宝樹庵道勝―戸田露吟―加州松岡家―畠山美術館
「松本舟」は、三日月形をした砂張の舟花入です。
松本珠報が所持していたことに因んだ銘です。
松本珠報―酒井宗雅―泉屋博古館
「淡路屋舟」は、17世紀に作られた三日月形の砂張の舟花入です。
堺の町人であった淡路屋宗和が所持していたことに因んだ銘です。
織部好みと遠州好みの鎖が2つ沿っていて、更に、今井宗薫が伊達政宗に花入の由来について答えた添え状も付随しています。
淡路屋宗和―南坊―理蔵主―伊達正宗伊達家―野村美術館
「茜屋舟」は、三日月形をした砂張の舟花入です。
堺に商人であった茜屋宗佐が所持していたことに因んだ銘です。
「艜(ひらた)舟」は、底の浅い舟形の砂張の舟花入です。
平たいのでその銘があると考えられます。
武野紹鴎―角倉宗忠―徳川義直―尾張徳川家―鴻池道億―根津美術館
千宗旦から竹の舟花入が作られるようになりました。
そして、藤蔓で吊したりしました。
竹の舟花入で有名なのが、宗旦作の「横舟」です。
盛美庵の床の間には、花蛭釘も設えてありますので、舟花入を吊してみたいものです。
しかしながら、肝心の舟花入がありません。