茶神

手元にある楽家10代の旦入作の赤楽蓋置には、 「茶神」と書かれており、その字の上に釉薬が掛けられていることから、後から書き加えたものではなく、制作時に書かれた字であることが分かります。

 

それでは、茶神とはいったい何でしょうか。

 

茶神とは、唐代の陸羽(733年-804年)のことで、茶聖、茶王、茶仙、茶祖とも呼ばれています。
世界最古の茶書とされる『茶経』を著しました。

 

『茶経』は上元1年(760年)頃に書かれ、3巻10章から構成されており、上巻には、一之源(茶の起源)、二之具(製茶の道具)、三之造(茶の製造)、中巻には、四之器(茶器)、下巻には、五之煮(茶の煮出し方)、六之飲(茶の飲み方)、七之事(茶の事跡)、八之出(茶の産地)、九之略(略式の茶)、十之図(茶の図)があります。

 

「其日、有雨不采、晴有雲不采、晴、采之、蒸之、搗之、焙之、穿之、封之、茶之干矣」
(其の日、雨あらば採らず。晴れるも雲あらば採らず。晴れてこれを採る。これを蒸し、これを搗き、これを焙り、これを穿ち、これを封ずる。これ茶の干く。)と、三之造に書かれており、これは現在の団茶とほぼ同じもので、唐代には餅茶(へいちゃ)と呼ばれていました。
必要に応じて削る出したものを、塩や葱(ねぎ)、薑(はじかみ)、棗、橘皮、茱萸(ぐみ)、薄荷(はつか)などの香味食品とともに煮出したものを飲みます。

 

唐代のお茶のスタイルは団茶に近い餅茶というものであることが『茶経』で分かりましたが、歴史を紐解くと新たな発見があるものです。

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