今日庵の庵号解読

茶道の三千家のひとつである裏千家に、今日庵という茶室があります。
裏千家の別称ともなっているように、裏千家にとって非常に重要な茶室です。

 

千家三代である宗旦が、不審庵を三男の江岑宗左に譲り、四男の仙叟宗室とその北側に隠居所として建てた茶室が、一畳台目という狭さの草庵茶室である今日庵です。

 

茶席開きの当日、招いていた大徳寺の清巌和尚が席入りの時刻に遅れて現れませんでした。
急用ができた宗旦は、翌日お越しくださるように、という伝言を残してやむなく外出しました。
そして、宗旦が戻ってみると、茶室の腰張りにある清巌和尚の書き付けを見つけました。

 

「懈怠比丘不期明日」
(懈怠の比丘、明日を期せず)
(怠け者の僧侶なので、明日にと言われても明日のことはどうなるか分かりません)

 

宗旦は、時刻に遅れながらも茶室まで 来てくださった清巌和尚に対して今日のことさえ分からない世の中なのに、明日にまた来てくれるように頼んだことを深く反省しました。

 

「今日今日といいてその日を暮しぬる明日のいのちはとにもかくにも」
という歌を清巌和尚に献じて詫びたのでした。
そして、庵号を今日庵としたのでした。

 

今の一瞬一瞬を大切にすることの大事さを
教えてくれる逸話です。

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