庵号は暗号?

茶の湯に長く親しんでいると、茶人は自分の茶室を持ちたくなるものです。
そして、その茶室に名前を付けたり、先輩茶人から名前を付けて頂いたりします。
これが、庵号と言われるものです。

軒号とも言われます。
この庵号ですが、ただ単に茶室に付与するのではなく、概して、何かしらの意味や謂れが込められています。
盛美庵とは、私の四畳半の囲い茶室の庵号です。

 

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楷書の臨書テキストとして有名な欧陽詢の『九成宮醴泉銘』の中にある「国の盛美をして、典策に遺有らしむ可からず」によっています。

 

唐代、貞観6年(632年)夏に、太宗が離宮である九成宮に避暑に訪れていた際、とても味の良い水からなる醴泉がその一画から湧き出てきました。
これを瑞祥として、魏徴が撰文し、欧陽詢が書いたものを石碑にしたものが、『九成宮醴泉銘』です。

 

美とは、羊と大を合わせた字で、肥えた羊を意味します。
その羊がうまいことから、うるわしい、めでたい、ということ意味しています。

 

従って、「国の盛美をして、典策に遺有らしむ可からず」とは、国の瑞祥である醴泉湧出というとてもおめでたいことを録に書き漏らしてはいけない、ということです。

 

何とも、意味深い庵号であることが改めて理解できました。
是非とも、盛美庵において一服のお茶で喉を潤していただきたいと思います。
喫茶去。
ところで、音声的に、盛美庵は、C’est bien.というフランス語に通じます。
字義通り、美的なことを専らにするという方向性もあってもいいと考えています。

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