大阪の茶室で楽しむ春
都市部では、すみれの花の時季は過ぎてしまいましたが、まだ山里では咲いているところもあると思われます。
スミレといえば、宝塚歌劇団を思い起こす方も多いのではないでしょうか。
偶然にも元タカラジェンヌの書簡が手元にあります。
そこで、菫の趣向として茶の湯を楽しむことにしました。
「すみれの花咲く頃」
春すみれ咲き 春を告げる
春 何ゆえ人は汝を待つ
たのしく悩ましき
春の夢 甘き恋
人の心酔わす
そは汝 すみれ咲く春
すみれの花咲くころ
はじめて君を知りぬ
君を想い日ごと夜ごと
悩みしあの日のころ
すみれの花咲くころ
今も心ふるう
忘れな君 われらの恋
すみれの花咲くころ
忘れな君 われらの恋
すみれの花咲くころ
大正12年に貞明皇后が詠まれた和歌として、「うつふして匂う春野の花すみれ 人の心にうつしてしかな」があります。
以下のような趣向で濃茶貴人清次と薄茶貴人点にてお茶を楽しみました。
寄付待合
軸 春山水之図 高木富三筆
脇 元タカラジェンヌ書簡
本席
軸 「有通婦之伝 尓本不者累野農 盤南寿美麗 人乃己ゝ呂耳 宇都志而之可那」 鈍翁筆
(うつぶして にほふはるのの はなすみれ 人のこころにうつしてしがな)
花 肥後菫
花生 旅枕花入 楽斎造
香合 赤楽面匣 鈍阿造
釜 万代屋釜 敬典造
炉縁 掻合塗
風炉先 更紗(バティック) 紺々堂製
棚 丸卓
水指 染付山水図水指 井上春峰造
茶碗 貴人茶碗 桶谷定一造
台 杉
供 黒楽 桂窯 拙作
茶入 瀬戸飛鳥川写 三代杉田祥平造
仕覆 石畳金襴
薄器 雪月花蒔絵中棗 熊谷秀穂造
茶杓 若草 立花大亀老師
蓋置 赤楽三つ葉 宗入造
建水 唐銅フエゴ 淨雲造
水次 仁清写渦水次 宝泉造
主菓子 花すみれ 福壽堂秀信製(大阪)
菓子器 淡々斎好 渦蒔絵高坏
茶碗 貴人茶碗 桶谷定一造
台 杉
茶杓 山里 三代瓢阿造
蓋置 紺地蝶 清閑寺窯造
干菓子 蝶 クローバー 河藤製(大阪)
干菓子器 淡々斎好 渦蒔絵高坏
皆さまもゆく春をお楽しみください。