鉄牛

鉄牛という銘を持つ伊賀耳付茶入が存在します。

 

中国の夏王朝の祖である禹は、黄河の水害を鎮めるために鉄で鋳て作った牛を川底に沈めたという伝説があります。

重いものを沈めて川の流れの勢いを弱めることが図られています。

そして、鉄という高価ものを用いている姿勢も、民を慮る為政者であることを示しています。

つまり、鉄牛とは、堅固不動の意を表します。

 

また、黄河の蒲津渡遺跡では、唐の開元12年(724年)鋳造の鉄牛4尊が1989年に発掘されました。

 

『碧巌録』第38則は、以下のようになっています。

「擧。風穴在郢州衙内。上堂云。祖師心印。状似鐵牛之機。去即印住。住即印破。只如不去不住。印即是不印即是。時有盧陂長老。出問云。某甲有鐵牛之機。請師不搭印。穴云。慣釣鯨鯢澄巨浸。却嗟蛙歩謌泥沙。陂佇思。穴喝云。長老何不進語。陂擬議。穴便打一拂子云。還記得話頭麼。試擧看。陂擬開口。穴又打一拂子。牧主云。佛法與王法一般。穴云。見箇什麼。牧云。當斷不斷。返招其亂。穴便下座。」

(挙す。風穴 郢州の衙内に在って、上堂して云く。祖師の心印、状 鉄牛の機に似たり。去れば即ち印住し、住すれば即ち印破す。只だ去らず住せざるが如きは、印するが即ち是か、印せざるが即ち是か。時に盧陂長老有って、出でて問うて云く。某甲鉄牛之機有り。請う師、印を搭せざれ。穴云く。鯨鯢を釣りて、巨浸を澄ましむるに慣れ、却って嗟く 蛙歩の泥沙に謌することを。陂 佇思す。穴 喝して云く。長老何ぞ進語せざる。陂 擬議す。穴 打つこと一払子にして云く。還って話頭を記得すや、試みに挙せよ看ん。陂 口を開かんと擬す。穴 又打つこと一払子す。牧主云く。仏法と王法と一般なり。穴云く。箇の什麼を見るや。牧云く。当に断ずべきに断ぜざれば、返って其の乱を招く。穴 便ち下座す。)

 

悟りは、鉄牛が川の氾濫を抑える働きに似ていて、確固たるものということです。

 

実のところ、手元に、鉄牛という銘の付いた江戸時代の茶杓がありますが、その意味が理解されました。

鉄牛のごとくありたいものです。

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