蹲花入
蹲花入(うずくまるはないれ)、蹲花生は、桃山時代に信楽、伊賀を中心にして、備前、唐津で焼かれた花入です。
首が傾いていて丸みを帯びた背の低い姿が、まるで人が蹲っているような形に見えるので、その名があります。
10-20 cmくらいの高さがありますが、明確な意図を持って造られた種壺と油壺では高さが違うようです。
種壺が20 cmくらいで、油壺が10 cmくらいとなっているようです。
もともとは、種壺や油壺として使われていたものを、花入として見立てたのだと思われます。
鐶を付けるための穴があるものは、後世の人が掛け花入にするために開けたものと考えられます。
背の低いものが花入としては好まれています。
蹲花入の口作りは特徴的で、二重口と呼ばれるそろばんの玉のような形状をしているものがあります。
これは、紐を掛けるための凹みとなっているのです。
蹲花入に使われる壺が日用雑器であることを如実に示しています。
信楽焼によく見られる檜垣紋の描かれたものもあります。
現代の陶工も盛んに蹲花入を造っています。
滋賀県立近代美術館などには桃山時代のものがありますので、実物を見てみたいものです。