蹲(蹲踞、つくばい)は、和を演出するためのアイテムとしてよく使用され、料亭の庭に置かれているのを見たことがある方も多いのではないかと思われます。

 

露地に据え付けた手水鉢で、客が席入りの際に手と口を清めるために用います。

 

蹲という名は、つくばうという動詞の名詞形に依ります。

しゃがむ、うずくまる、かがむ、という意味です。

 

構成される石組みとしては、手水鉢、前石、湯桶石、手燭石、水門(海)となります。

 

手水鉢は、手や口を清めるための水を入れておくための器となる石で、蹲の中心となるものです。

筧や懸け樋から水が手水鉢に流れ落ち、水を掬うための柄杓が置かれています。

 

前石は、手水鉢の前に置かれた石で、この上でかがんで手と口を清めます。

湯桶石は、寒いときにお湯を入れた湯桶を置くための石です。

手燭石は、夜の茶会の際に手燭を置くための石です。

水門(海)は、これらの役石に囲まれた中央の領域に砂利や小石、瓦を敷き詰めて、手水鉢から溢れ落ちる水、そして、手や口を清めるときの水が落ちるところです。

 

裏千家流では、右に手燭石、左に湯桶石を配置しています。

 

露地にある水の入った蹲は、それだけでも風情のあるものです。

世塵のけがれをすゝぐ、としますか。

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