聴雨寒更盡

聴雨寒更盡(あめをきいてかんこうつく)

晩秋に茶席でよく掛けられる文言です。

開門落葉多(もんをひらけばらくようおおし)と対句になっていますが、こちらも単独でよく掛けられます。

雨音を聴いて夜を過ごしていましたが、翌朝、門を開いてみると、落ち葉が一面に落ちていました。

昨晩、雨かと思っていた音は、実は葉の落ちる音だったのです。

実に詩的な叙景を表しています。

このような叙景を禅では、現成(げんじょう)と言います。

現成とは、眼前に出現していることです。

つまり、自然の摂理が目の前に現れていて、それは仏法そのものということです。

出典は以下の漢詩になります。

『全唐詩』、「秋寄從兄賈島」、無可上人

暝虫喧暮色

默思坐西林

聽雨寒更徹

開門落葉深

昔因京邑病

并起洞庭心

亦是吾兄事

遲回共至今

(暝虫、暮色ニ喧シク

默思シテ西林ニ坐ス

雨ヲ聽イテ寒更徹シ

門ヲ開ケバ落葉深シ

昔、京邑ノ病ニ因リテ

并ビニ洞庭心ヲ起コス

亦是、吾兄ノ事

遲回シテ共ニ今ニ至ル)

これを元にして以下の和歌が詠まれました。

「秋の夜に雨と聴こえて降りつるは風にみだるる紅葉なりけり」

『拾遺集』紀貫之

この時季、夜に雨が降ると、翌朝、ドアを開けてみると、実際に、一面にもみじの葉が落ちています。

掛け軸の文言が再現されていて興味深く感じます。

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