利休百首ならぬ、ニーチェ百首 第59首
フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)は、ドイツの有名な哲学者です。
私たちに哲学的な言葉を数多く残してくれました。
「昼の光に、夜の闇の深さが分かるものか。」
陰陽五行説に基づいた世界観が表されているようです。
主要著書である『ツァラトゥストラはかく語りき』の題名となっているツァラトゥストラとは、ゾロアスター教(拝火教)の開祖ザラスシュトラのドイツ語表記になります。
光と闇の暗喩がとても訴求してきます。
「ともしびに陰と陽との二つあり暁陰に宵は陽なり」
(物事には陰と陽があって、灯火にも陰と陽があります。陽の暁には陰の行燈、陰の宵は陽の短檠を使います。)
という利休百首の第59首と通じるところがあると感じられます。
短檠とは、背の低い灯台で、柱の上部に受け皿があり、下部は箱になっています。
陰の宵に陰の灯火を点したところで、人生の暗闇が見えないかもしれません。
暗闇に明るい光を当ててみることで、見えてくるものがあるのです。
明るすぎて気が付かないものもあります。
陽の暁に陽の灯火を点せば、まぶしさで更に分からなくなります。
「心の春の燭火に若き命を照らし見よ
さくまを待たで花散らば哀しからずや君が身は」
ということでしょうか。