三茄子
一富士二鷹三茄子とは、初夢に見ると縁起がよいとされるものです。
徳川家と深い関係のある駿府における名物を並べ挙げたものと考えられています。
また、別の説としては、富士は不死や無事、鷹は高い、茄子は事を為す、という語呂としての意味があるからとも言われます。
そして、茶の湯の世界には、三茄子と呼ばれるものが存在します。
それは、九十九髪茄子、松本茄子、富士茄子になります。
九十九髪茄子は、大名物で、足利義満が所持し、後に松永久秀が織田信長に献上して大和一国を賜ったというエピソードがあります。
大坂夏の陣では、大坂城の焼け跡から回収され、漆による補修がなされました。
「百とせに一とせ足らぬ九十九髪我を恋ふらし面影に見ゆ」という『伊勢物語』の中の和歌に銘は因むとされています。
現在、静嘉堂文庫美術館の所蔵となっています。
松本茄子は、大名物で、武野紹鷗が所持し、後に村田珠光の弟子である松本珠報が所持したのでこの銘があるとされています。
現在、静嘉堂文庫美術館の所蔵となっています。
富士茄子は、大名物で、足利義輝が所持し、後に前田利家の所持となりました。
多くの茄子中で最高峰ということでその銘があります。
現在、前田育徳会の所蔵となっています。
このような茶入が手に入れるには、事を為す必要があったことでしょう。
初夢は、どのようなものでしたでしょうか。
フロイトの『夢判断』で分析してみるのもよいでしょう。