蝉しぐれ
茶杓の銘に、蝉しぐれ、蝉時雨というものがあります。
蝉の鳴き声が、あたかも時雨が降ってくるごとく、木々の上から聞こえてくる様を示しています。
確かに、林の中での蝉しぐれは、躍動的な感じがします。
夏の風物詩とも言えるものです。
ところが、木々のたくさん生えている郊外で蝉しぐれが聞かれるのかと思いきや、意外と都会でも蝉の鳴き声が聞かれます。
太古の昔、地球上は昆虫が生物の中で最も栄えていた時期がありましたが、そのときは平均気温が高い時代でした。
そして、昨今、地球温暖化で平均気温が高くなってきています。
そのため、蝉の活動が活発になっているのかもしれません。
実際、南方系のクマゼミは、徐々に生息域を北へ広げているようです。
東日本では、アブラゼミが蝉しぐれの主役となっています。
藤沢周平の著した小説に『蝉しぐれ』があります。
藤沢文学の中でも、名作として多くのファンに愛されている作品で、ドラマ化や映画化もされています。
小説での最後の場面は、馬に乗った牧文四郎が蝉しぐれの聞こえる木立に中から出立していくものです。
それでは、盛夏の象徴ともなっている蝉しぐれですが、近くの少し大きめの公園ではなく、ちょっと遠出をしたところで聞きたいものです。
「陽だまり」 村下孝蔵
蝉時雨 遥か すだれごしに
水を打つ 夏の夕暮れ
石が川面を跳ねるように ときめいた君を想って



