濃茶の飲み回し
茶の湯において、濃茶は客一同が1椀の中のお茶を回し飲みして、順次、自己に割り当てられた分量を飲んで、次の客に渡します。
衛生面で問題があると指摘されることもありますが、小茶巾や紙茶巾で飲み口を拭き清めます。
また、お茶はかつて薬として扱われていましたが、その中に含まれるカテキンなどの2次代謝産物には殺菌作用があります。
落語の「荒大名の茶の湯」のように、加藤清正のあごひげが濃茶の中に入るようなことは、あまりないと考えられます。
それに、茶事であれば、仲の悪い者同士を同席させることはありませんので、生理的に受け付けないということもないと思われます。
この濃茶の回し飲みを始めたのは、楽茶碗を生み出した千利休であると言われています。
当時、カトリックが日本にも入ってきて、ミサでの聖杯の回し飲みに着想を得たのではないかという説もあります。
実際問題として、1人分の濃茶を練るのは難しいです。
そのため、複数の人数分の濃茶を練ることは合目的的です。
そして、人数分に取り分けるのも難しいため、結果、回し飲みということになったのではないでしょうか。
とはいうものの、それまでは濃茶は1人ずつ練っていたようで、時間が掛かっていたようです。
濃茶をおいしく頂くために、懐石を頂き、懐石をおいしく頂くためにお酒を頂きます。
それから、千鳥の杯も、いわば回し飲みのようなものかもしれません。




