ジョイントマットの上に電気カーペットを敷いて使っても問題はないのか気になります、というお悩みの方がいらっしゃるようですので、その悩みを解消したいと思います。
赤ちゃんやペットのいる家庭において、最近よく売れている敷物にジョイントマットがあります。これは、熱可塑性樹脂であるEVA(ethylene vinylacetate copolymer)やPE(polyethylene)を原料としたマットで、軟らかいのが特徴的です。そのため、転倒防止、関節の損傷防止という用途で使われ、赤ちゃんやペットのいる家庭で受け入れられているのです。
実のところ、これ以外にもジョイントマットには様々な用途があります。断熱、防音、撥水、撥油などが挙げられます。
つまり、冬場のフローリングの冷たさの伝わるのを断熱したり、階下に音が漏れるのを防いだり、水や飲み物をこぼしても平気なようにしたりするために、ジョイントマットが使われています。従って、ジョイントマットはとても有能な敷物であると言えます。
ここでは、冬という寒い季節に、熱源を持たないために自らは暖かくはならないジョイントマットが、暖房器具として電気カーペットと一緒に使うことができるのかを検証してみたいと思います。
ホットカーペットとも呼ばれる電気カーペットは、カーペットの中にある電熱線に電気を通すことで熱を発する暖房器具です。
部屋全体ではなく、カーペットの表面だけを暖めるため、他の暖房器具と比べると電気代があまり掛かりません。また、全面だけではなく、半面や3分の1という限定的な利用もできるので、とても経済的です。
独立行政法人である国民生活センターが平成16年11月5日に発表した報告「暖房器具の安全な使い方 その1 電気カーペット ~実使用上の安全性~」では、電気カーペットに関していろいろなテストが行われ、その結果が記されています。
シェア上位国内5社の中で、1社につき1製品の2畳の広さの電気カーペット、計5銘柄を対象に試験が実施されました。
設定温度を最も高くした場合、5銘柄全てで表面温度が42ºCを越え、1銘柄のみが45ºCを越えました。
熱可塑性樹脂が、加熱して軟らかくなり、且つ、冷やすと固くなる温度を軟化点と呼びます。
酢酸ビニルとエチレンの共重合体であるEVAの軟化点は、60ºCから90ºCの間です。但し、酢酸ビニルの含有量が多いほどEVAの軟化点は低くなります。
そして、エチレンの重合体であるPEの軟化点は、80ºCから90ºCの間です。
熱可塑性樹脂からできているジョイントマットは、熱を伝えにくいため、冬の冷たいフローリングに敷くことで、その冷たさを感じなくなります。しかしながら、冬の部屋自体も寒いので暖房器具を用いて暖を取りたいものです。
そこで、ジョイントマットの上に電気カーペットを敷いて使用する事例が想定されます。その際、電気カーペットの表面温度が最大50ºCとすると、その裏側とジョイントマットの接する面の温度は、空気中への熱の放散がないのでもう少し高いと思われます。
しかし、軟化点以下とあると推察されますので、ジョイントマットと電気カーペットの併用は可能と考えられます。特に、「やさしいジョイントマット」は、耐熱温度が70 ºCであるので、併用できます。但し、接する面の正確な温度が不明ですので、アルミニウム製の断熱シートを間に挟んで使うことが無難であると言えます。
電気カーペットの表面温度がそれほど高くならないので、事故が起こらないと思われがちですが、その上に寝ていたりすると知らぬ間に低温火傷や熱中症になることが多発しています。こたつ、湯たんぽ、カイロなどでも低温火傷や熱中症が起こるので注意が必要です。
低温火傷は、それほど高くない低温のものでも長時間に渡って皮膚と触れることで、火傷と同じような症状になることです。
熱中症は、体温が上がることで脱水症状となり、吐き気、痙攣、意識消失などが起こります。
そのため、メーカーは、電気カーペットを就寝用に使用することを禁じています。
対策としては、眠らないことですが、体の同じ部分を接触させ続けないこと、赤ちゃんや高齢者の使用に際しては別の人が気遣いをすることが考えられます。
以上より、熱可塑性樹脂で造られたジョイントマットは、製品によって特定の軟化点や耐熱温度を持ちます。そして、電気カーペットの温度はそれほど高くはならないため、ジョイントマットと電気カーペットを併用しても問題はないと考えられます。しかし、念のため、アルミニウム製の断熱シートを両者の間に挟んで使用することをおすすめします。
それでは、ジョイントマットの上に敷いた電気カーペットを利用して、冬の室内においても快適な暖かさでお過ごしください。