ジョイントマットを敷くと、カーペットや絨毯のようにダニは発生するのかどうか、という疑問を持っている方がいらっしゃるので、それに答えたいと思います。
もはや多くの家庭で受け入れられているジョイントマットですが、とても機能的な敷物です。EVA(ethylene vinylacetate copolymer)やPE(polyethylene)という柔軟性に富む樹脂を原料としているため、断熱性、防音性、弾力性、加工性、撥水性、撥油性という特性を持っています。
弾力性やクッション性を備えたジョイントマットの上に寝転んでリラックスしたくなります。特に、厚さ約20 mmのものは心地よい柔らかさになります。
そのため、ジョイントマットは清潔に保っておきたいものです。決して、ダニなどが生息している状態にはしたくはありません。
ダニとは、生物学的分類として節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目に属する体長1 mm以下の小さな生物です。更に家の中に住むダニは、チリダニ科に属するものが80%以上となっており、ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニがその代表的なものになります。
ダニの寿命は、2ヶ月から4ヶ月ほどですが、その間にたくさんの糞をします。
湿気があって、温度が高く、餌があって、隠れる場所のある環境でよく生育します。餌をしては、ヒトの垢、髪の毛、落ちた食べ物のかけらなどが挙げられます。
部屋の中にダニがいると、ダニの糞、脱皮殻、死骸がハウスダストとして抗原(アレルゲン)となってアレルギー反応が起こることがあります。
アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎という症状が見られます。
従って、健康な毎日を送るためには、ダニのいない室内環境を整えることが重要となります。
また、家の中に住むダニは咬む種類はほとんどいませんので、咬まれるリスクは外に比べればあまり心配しなくともいいです。
一般社団法人日本アレルギー学会の発刊する雑誌に掲載された「小児気管支喘息児の家庭内環境とダニの分布」(アレルギー 33(8), 454-462, 1984)という論文によれば、ダニアレルギーを示す小児気管支喘息児のいる家庭で、家屋塵, 床材, 寝具, 家具, 玩具などに潜むダニに関して調査した結果が示されています。
これによると、家のほこり0.5 g当たりにダニが平均393匹検出されました。その中で、ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニが66%を占めました。
そして、カーペットのある家と古い家にダニが有意に多いことが確認されました。カーペットの1畳当たり418匹、畳の1畳当たり131匹、板の間の1畳当たり27匹のダニがいるということが分かりました。
それから、布製・ファブリック製の椅子、ソファー、ぬいぐるみでもダニが検出され、布団やマット1枚の上面には238匹のダニがいました。
従って、喘息児のいる家庭では、カーペット、布製ソファー、ぬいぐるみは家の中に置かない方がよいという見解が示されています。
少し古い論文ではありますが、カーペットの仕様もダニ対策が施されるようになっていることを考慮しても、家の中のカビに関して参考になると考えられます。
カーペットは表面に並ぶ無数の繊維の突起の間が格好のダニの住みかになっています。しかし、ジョイントマットは形状としては、板の間に近いと考えられます。従って、表面に隠れるところがないので、ダニは住みにくい環境となります。
但し、ジョイントマットは、各パーツを繋ぎ合わせて、広い一面としています。そのため、その繋ぎ目の僅かな隙間が空いてしまいます。更に、端のシートでは連結のためのギザギザがそのままむき出しになって、ほこりが溜まりやすくなっています。これらの場所にダニが生息する可能性が生じています。
それ故、こまめな掃除が大事になってくるのです。これは板の間やフローリングであっても同様のことと言えます。
加熱、乾燥、除去がダニの駆除方法の基本となります。
ジョイントマットは撥水性を示すため、常時、乾燥していると考えられます。また、EVAやPEは熱可塑性樹脂という、軟化点と呼ばれる特定の温度を超えると軟らかくなり、反対に冷えて軟化点よりも低い温度になると固くなります。そのため、加熱する場合は、その軟化点を考慮する必要があります。とはいうものの、ジョイントマットはその性質上、ダニが生息しにくい敷物で、要はダニの餌となるものを取り除くことが重要となります。
従って、ジョイントマットのダニを駆除する方法としては、除去が最適になり、掃除機をゆっくりとジョイントマットの上を動かして、繋ぎ目に入り込んだほこりも吸い取れるようにするやり方が好ましいです。
そして、たまにはジョイントマットを上げて、床とマットの間に溜まったほこりを掃除機で吸い取ってください。
以上より、ジョイントマットはEVAやPEという樹脂性なので板の間のように、アレルギーの原因となるダニが生育しにくいです。しかし、繋ぎ目の隙間や端の連結部のギザギザの凹部には、ダニの餌となるほこりや垢や髪の毛などが溜まりやすくなっているので、掃除機でしっかりと吸い取ってください。
それでは、ジョイントマットを用いてダニのいない生活をお過ごしください。