暖房器具であるこたつをジョイントマットの上で使いたいのですが、というお悩みの方がいらっしゃるようですので、その悩みを解消したいと思います。
最近、殊に人気となっているジョイントマットは、様々な目的のために床に敷き詰められます。これは、ジョイントマットがEVA(ethylene vinylacetate copolymer)やPE(polyethylene)という軟らかい熱可塑性樹脂でできているという素材の特性に基づいています。
つまり、断熱性、防音性、弾力性、撥水性、撥油性などの特性をジョイントマットは持ちます。これを利用した用途が幾つか考えられます。
冬場のフローリングの冷たく、とても素足で過ごせるものではありません。そのため、この冷たさを遮断するためにジョイントマットを敷きます。
しかし、ジョイントマットには熱源が備え付けられていないので、そのままでは熱を自ら発することはありません。そこで、ジョイントマットを床に敷くだけではなく、暖房器具を合わせて使用したいということになります。
ここでは、暖房器具の代表であるこたつを取り挙げて、ジョイントマットとこたつを併用して使うことができるかを検証してみたいと思います。
こたつという暖房器具
こたつ(炬燵、火燵)は、熱源の上にやぐらを設けて、ふとんを被せて熱を逃げないようにして、足や下半身を暖める暖房器具です。
様式としては、掘りごたつと置きごたつがあります。
掘りごたつは、現在、腰掛けごたつと同義で、床下に掘り込んた穴の底を炉面として、そこに熱源を置きます。そして、やぐらを組んで床面に腰掛けて暖まります。
置きごたつは、熱源が床面、もしくは、やぐらの下面に存在したものです。そして、一般的に普及している電気こたつは、このタイプのものが多くなっています。そのため、ジョイントマットとの併用を考える際、この置きごたつが対象となると考えられます。
独立行政法人国民生活センターの商品テスト結果「幼児がやけどを負い、こたつ布団なども焦げた電気こたつ」(平成27年3月19日)によると、3年前に購入した電気こたつのヒーターカバーで3歳の女子が火傷をし、更に、こたつ布団も焦げたという事故がありました。
これは、布団が中に入り込んでヒーターカバーと接触したと考えられますが、実際にヒーターカバーの温度を測定したところ、最大で約90ºCという結果でした。そのため、子供が火傷をしたり、布団が焦げたりしたのです。但し、ヒーターカバーの温度基準は120 ºC以下に定められており、この温度を一応下回っています。
それから、メーカー2社の取り扱い説明書を読んでみると、目盛りを強に合わせた際のこたつの側面の温度の目安はともに65ºCであると明記されています。
従って、置きごたつのヒーターカバーは、とても高温になっていることが分かりました。
熱可塑性樹脂とは、軟化点という温度を越えると柔らかくなり、逆に、軟化点を冷えて下回ると固くなる性質を示すプラスティックです。
EVAの軟化点は、60ºCから90ºCの間で、酢酸ビニルの含有量が多いほどEVAの軟化点は低くなります。そして、PEの軟化点は、80ºCから90ºCの間です。
熱可塑性樹脂とは、軟化点という温度を越えると柔らかくなり、逆に、軟化点を冷えて下回ると固くなる性質を示すプラスティックです。
EVAの軟化点は、60ºCから90ºCの間で、酢酸ビニルの含有量が多いほどEVAの軟化点は低くなります。そして、PEの軟化点は、80ºCから90ºCの間です。
ジョイントマットとこたつの併用
電気こたつのヒーターカバーの温度が最大90ºCとすると、また、目盛りを強にしたときの側面の温度が65ºCとすると、敷き布団の温度は最大65ºCくらいと考えられます。
従って、PE製のジョイントマットはこたつと併用できると考えられます。他方、EVA製のジョイントマットは、軟化点の低い製品では熱で変形してしまう可能性があります。しかし、ほとんどのジョイントマットはこたつと併用できるのではないでしょうか。実際、「やさしいジョイントマット」は、耐熱試験で70ºCまで変形などの異常がありませんでしたので、こたつと併用可能と考えられます。
念のため、アルミニウム製の断熱シートをジョイントマットとこたつの敷き布団の間に挟んでおくことで、熱によるジョイントマットの変形を防ぐことができます。
それから、脚の下にはパッドを敷くことで、ジョイントマットがこたつの重さの掛かった脚で陥没することを防ぐことができます。
以上より、最近のジョイントマットは性能が向上していて、耐熱温度が70ºCの製品も製造されています。置きごたつとして一般的な電気こたつのヒーターカバーは最大90ºCですが、少し離れたこたつ側面は最大65ºCと想定されます。従って、敷き布団も最大65ºCくらいになる可能性があります。
従って、ジョイントマットとこたつを併用しても、ジョイントマットが熱で変形する可能性はほとんどないと思われます。しかし、安全を期して、ジョイントマットと敷き布団の間に、アルミニウム製の断熱シートを敷くことをおすすめします。
それでは、ジョイントマットの上にこたつを置いて、寒くて厳しい冬を乗り越えてください。