現在の家屋では床の仕様として、フローリングは一般的になっています。その上に敷くものとして、ジョイントマットは持て囃されています。
EVA(ethylene vinylacetate copolymer)やPE(polyethylene)という柔軟な樹脂を原料としているため、断熱性、遮音性、クッション性、撥水性、撥油性などにおいて優れた特性を示します。また、カラーや大きさにもたくさんの種類があるため、多岐に渡るニーズを満足します。
それ故、多くの家庭でとても人気のある敷物となっているのです。
どんなものでも長い間使っていると、汚れたり、摩耗したり、劣化したりすることは、理であるので仕方のないことです。
ジョイントマットの場合、敷き詰めたうちの一部分が傷んでいる場合が多いと思われます。特によく歩く箇所は摩耗する確率が高いのではないでしょうか。
しかし、ジョイントマットはその名前にあるようにジョイント式なので、傷んだり、汚れたりしたシートだけを外して、新しいジョイントマットと交換すれば、問題の対処は済むのです。
こうして交換した際に不要のジョイントマットが生じるわけですが、その捨て方に関してここでは検証してみることにします。
EVAは、エチレンとビニル酢酸が共重合したもので、炭素原子と酸素原子と水素原子から構成されています。そして、PEは、エチレンが重合したもので、炭素原子と水素原子から構成されています。すなわち、廃棄するに当たって、塩素原子のような規制対象となる元素は含まれていません。
従って、EVAやPEで製造されているジョイントマットは、燃えるごみとして、自治体のごみ収集サービスにより持って行ってくれます。
但し、大きさの大きいものは、粗大ごみ扱いになりますが、詳細はお住まいの自治体が定めるごみの出し方を参照してください。
例えば、横浜市ならば、50 cmを越えるものは、燃えるごみではなく、粗大ごみとして廃棄することになります。つまり、横浜市では、木製品など50 cm以上という扱いになって200円の手数料になります。
しかし、ジョイントマットをカッターナイフで切って、50 cm未満の大きさにすれば燃えるごみとして出せます。これにより、粗大ごみの処理手数料を払わずに済みます。
また、EVAの表面にコルクがはってあるコルクマットに関しては、コルクの主成分であるスベリンやリグニンには規制される元素が含まれていません。それ故、燃えるごみとして廃棄してくだい。但し、この場合も、50 cmを越えるものは粗大ごみとなってしまう場合が多いと思われますので、小さく切って50 cm未満の大きさにして、燃えるごみとして廃棄できるようにするのが、粗大ごみの手数料を節約できて賢明です。
塩素系ごみは、焼却する際、有害物質であるダイオキシンが発生するため、燃えるごみとしは出せないことになっています。というのも、現在、焼却施設から放出されるダイオキシンが問題となっていて、平成11年3月にダイオキシン類対策関係閣僚会議で策定されたダイオキシン対策推進基本指針と、平成11年7月に制定されたダイオキシン類対策特別措置法によって、規制されているのです。
高温焼却炉によって700ºC以上の高温で焼却できる自治体では、塩素系ごみは燃やしてしまいます。しかし、高温焼却炉のない自治体では、250ºC-400ºCという温度下での不完全燃焼によってダイオキシンが生じるので塩素系ごみは燃やせません。
ダイオキシンとは、ポリ塩化ジベンゾダイオキシン類の総称で、人間の健康や生態系に対して悪影響があると考えられています。事実、ベトナム戦争の枯れ葉剤としてダイオキシンが使われ、奇形児の誕生などが問題となりました。
塩素原子を含む樹脂として有名なのが、PVC(ポリビニルクロライド、ポリ塩化ビニル)というもので、俗に、塩ビと呼ばれているものです。それ以外にも、塩素原子を含む製品はあります。
このような塩素原子を含有するものを廃棄する場合、高温焼却炉の有無で自治体によって扱いが違うようですので、確認が必要になります。燃えないごみとして出したり、指定された袋に入れれば可燃ごみとして出したりします。
しかしながら、実際問題として、塩素原子を含む原料から作られたジョイントマットはあまりないように思われます。
以上より、ジョイントマットも長期間使うと傷んだり、汚れたりします。その際、廃棄する際には、素材に注意しますが、原料となるEVAやPEは塩素原子を含まないので、燃やすごみとして廃棄してください。但し、自治体によっては50 cm以上のジョイントマットは粗大ごみ扱いになるところもあります。しかし、カッターナイフで50 cm未満の大きさにすれば、燃やすごみになりますので、手数料が掛かりません。
それでは、ジョイントマットを廃棄するほど使い倒して、その良さを享受してください。