コルクマットはシックハウス症候群の原因にはならないの?
疑問確認
コルクマットはシックハウス症候群の原因物質を含んでいるのか、という疑問を持っている方がいらっしゃるようですので、それに答えたいと思います。
コルクマットという敷物
フローリングの上に敷かれるコルクマットは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)という樹脂を土台として、天然素材であるコルクマットを貼り付けたものです。
防寒、防音、転倒の衝撃吸収などの用途で、コルクマットは主に使われます。ジョイント式なので、繋げて敷くことができ、繋げ方で様々な形にすることができます。そのため、多くの用途で使えて、更に、手軽に使える点が好まれて、コルクマットは人気となっているのです。
とはいうものの、コルクマットの上に寝転んだりすることもありますので、安全な製品である必要があります。
コルクマットを構成するもの
コルクマットを構成するものは、コルク、EVA、接着剤となります。
コルクは、コルク樫の樹皮を剥がして加工したもので、スベリンとリグニンという高分子化合物を主成分とするものです。もともといた細胞が徐々に死んでいって細胞壁となったもので、生命活動に必須な2次代謝産物は既に失われています。
そのため、コルク自体は、有害な低分子化合物は含まれていないので、安全な素材であると言えます。仮に、食べてしまったとしても、安定な高分子なので、消化・吸収されずに排泄されてしまいます。
また、EVAは、エチレンと酢酸ビニルをモノマーとして重合反応させた共役付加重合体という高分子化合物です。そのため、安定な構造を有しているため、更に何かと反応することもなく、安全な素材です。
そして、やはり、万が一、食べてしまったとしても、そのまま排泄されます。
それから、コルクマットに貼られているコルクは、細かいコルクの粒を接着剤で固めた集成材のようなものです。更に、コルクをEVAに貼るのにも接着剤が使われています。
従って、これらの接着剤がどのような種類のものが使われているかが問題となる可能性があります。
シックハウス症候群とは
昨今、気密性の高い住宅が作られるようになってきたことで換気が不十分となり、シックハウス症候群というものが起きています。
原因は、建材、家具、日常生活製品に使われている接着剤のような揮発性低分子化合物などが室内に停留することです。
症状としては、目の痛み、喉の痛み、頭痛、微熱、吐き気、食欲不振など、多岐に渡ります。
そして、原因物質としては多くの化合物がありますが、ホルムアルデヒド、および、クロルピリホスが代表的なものです。
平成15年7月1日から施行されている建築基準法第28条の2の追加条項によって、クロルピリホスは使用禁止になっています。他方、ホルムアルデヒドは、放散量が厳密に管理されることになりました。
ホルムアルデヒドの放散量の等級表示が、JIS(日本工業規格)とJAS(日本農林規格)で定められています。
建築基準法の規制対象外はF☆☆☆☆、第3種ホルムアルデヒド発散建築材料はF☆☆☆、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料はF☆☆で表され、☆の数が多いほど、ホルムアルデヒドの放散量が少なくなっています。
更に、第1種ホルムアルデヒド発散建築材料は、使用禁止になっています。
このような基準をもとにして、ホルムアルデヒドの放散量がいかほどになるか判断することができます。
コルクマットに使われる接着剤
コルクを固めるのに、および、コルクをEVAに貼り付けるのに、接着剤が使われています。
確かに、接着剤の中にはホルムアルデヒドが使われているものもあります。しかしながら、コルクマットは、SGS検査基準を満たしているものもあり、更に、国内検査機関の検査基準を満たしているものもあります。
このような検査を満たしているコルクマットは、シックハウス症候群を起こすようなホルムアルデヒドを揮発する危険性はありません。
従って、これらの検査機関の基準をクリアしている「やさしいコルクマット」という製品は、化学的にとても安全な敷物であると言えます。
赤ちゃんにも優しいコルクマット
床に敷き詰めたコルクマットの上に肌が敏感な赤ちゃんが載ることで、化学物質に基づく異常な症状が出てはいけません。
そこで、ホルムアルデヒドなどの揮発性低分子化合物による有害事象が起こらない「やさしいコルクマット」のような製品を用いれば、化学的な安全面での危惧がなくなります。
まとめ
以上より、目や喉の痛み、頭痛や吐き気を催すシックハウス症候群の主な原因物質はホルムアルデヒドです。コルクの集成やコルクとEVAの接着において、コルクマットに接着剤が使われていますが、検査機関の基準をクリアしたものであれば、化学物質による有害事象の起こるという危惧はなくなります。
それから、コルクやEVAは、構造的に安定な高分子化合物からできているので、毒性はありません。
それでは、コルクマットを床に敷いて、化学物質フリーの生活をお過ごしください。
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