コルクマットに使われているEVAって何なの?
疑問確認
コルクマットの下の台として使われているEVAという化成品について、いったいどういう代物なのだろうか、という疑問を持っている方がいらっしゃるようですので、それに答えたいと思います。
EVAとは
EVAは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(共重合体)の英語表記であるethylene-vinylacetate copolymerの略称です。つまり、エチレンと酢酸ビニルをモノマーとして、高温、高圧下、ラジカル共重合反応により合成された共重合体ポリマーという高分子化合物です。ラジカル反応は非常に反応性が高く、エチレンと酢酸ビニルの配列はランダムですが、酢酸ビニルの配合量や重合法により平均分子量を制御しています。
エチレンをモノマーとして重合させたポリエチレンというポリマーの結晶性を下げて柔軟な樹脂にするために酢酸ビニルが加えられています。具体的には、酢酸ビニルの含有量は、10%から40%の範囲で、その含有量の低いものや中位のものは、フィルムや形成材料の用途で使われ、また、その含有量の高いものは、接着剤の用途で使われています。酢酸ビニルの含有量が10%未満のものは、定義上、ポリエチレンに属します。
EVAの熱可塑性
EVAの特性は、柔軟性、弾力性に富んだ熱可塑性の樹脂で、水や紫外線に耐性があることです。また、塩化メチレン、アルコール、水ようなの溶媒には溶けませんが、ベンゼンやテトラヒドロフランのような溶媒には溶けます。
専門的にはなりますが、加工法には、容器のカップや中栓を作るのに適した射出成形という金型に押し込んで固化させる方法、ボトルを作るのに適した中空成形という吹きガラスのように中を空洞にさせる方法、ラップフィルムやポリ袋などを作るのに適したインフレーション成形法という押出機からでてきた溶融樹脂を膨らませて平らにする方法、押出コーティングという押出機からでてきたを基材にラミネートする方法、チューブを作るのに適した押出成形という型の穴から押し出す方法、フィルムやシートを作るのに適したカレンダー成形という幾つものローラーを通して薄くする方法、発泡という方法などがあります。
EVAは熱可塑性を持ちますが、これは、徐々に温度を上げていくと軟化点と言う柔らかくなる温度が存在し、これ以上では柔らかくて成形することができますが、逆に、温度が下がって軟化点以下になると固化するという性質のことです。
このため、上記のような様々な加工方法が可能となっているのです。酢酸ビニルの含有量により、軟化点はことなりますが、おおよそ60 ºCから90 ºCの間で、酢酸ビニルの含有量が多いほど、軟化点は低くなります。
EVAに毒性はなし
内閣府の食品安全委員会は、「欧州食品安全機関(EFSA)、食品接触材料中に使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体ワックスの安全性評価に関する科学的意見書を公表」(2014(平成26)年2月20日)という記事で、食材と接触しているプラスチックの原料に添加されるEVAワックスの安全性に関して、遺伝毒性を示す科学的根拠はないことを明らかにした、ということを提示しています(資料管理ID: syu03980240149)。
また、国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部の食品安全情報(化学物質)という資料(No. 18/ 2014(2014. 09. 03))によれば、ポリエチレンやEVAを含むプラスチック樹脂微粒子が、肌や歯の洗浄に効果を目的として、ピーリング、シャワージェル、歯磨き粉という化粧品に含有されていますが、これらが消費者の健康リスクをおかすことはないということです。
つまり、これらが塗布によって皮膚から吸収されることはなく、誤飲によって消化管から吸収されることもありません。そして、EVAが毒性を発現することもないということです。
従って、コルクマットに使われているEVAが、人の肌との接触や、削れたものの飲み込みで、有害事象を引き起こすことはない、ということが、国の機関により報告されています。ですので、コルクマットは極めて安全な敷物ということが実証されたことになります。
まとめ
以上より、コルクマットの土台として用いられているEVAは、まず、安全性という点では、触っても、間違えて飲み込んでも、毒性を示さない素材であることが、公的機関などでの実験や分析による検証から明示されました。
また、水や紫外線に耐性を示すように、コルクマットのEVAは、水を通しませんが、有機溶剤には溶剤の種類により溶けてしまいます。しかし、日常生活で溶剤による溶解は心配することはありません。更に、表面に貼られたコルクも水や油を通しにくいので、コルクマットは撥水性があると言えます。
それから、EVAの変形する温度である軟化点は、約60 ºCから90 ºCの間ですので、電気カーペットやこたつなどの暖房器具と併用する際は、注意が必要です。しかしながら、低温やけどを危惧すると、それほど高い温度での暖房器具の使用は、必然的にEVAの軟化点以下となることと、表面のコルクマットに断熱作用があることから判断して、EVAが変形するリスクは低いと考えられます。
とはいうものの、暖房器具と併用しての使用は、アルミの断熱シートをコクルマットの上に敷くなど、慎重な対応をお願いします。そして、EVAは樹脂であるため、コルク同様、熱を伝えにくく、コルクマットをフローリングに敷くことで床の寒さを防ぐことができます。
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