新しいコルクマットは匂いがするって聞くけど?
疑問確認
新品のコルクマットは匂いがするということを聞いて、その信憑性を確認したいと思っている方がいらっしゃるので、それに答えたいと思います。新しいコルクマットを開封して敷いてみると匂いがする、ということを確かによく耳にします。
匂いの正体・実態
匂いとは、空気中を漂う揮発性物質が鼻に存在する嗅覚受容体に結合することで、そのシグナルが脳に伝達されて、どのような種類や特質を持つ物質が鼻先に存在するかを想起させるもの、もしくは、嗅覚受容体が刺激されて過去に感じた特定の種類や特質が想起されるものと言うことができます。
例えば、腐敗臭のするものは、腐っているので食べるのをやめようという判断が、嗅覚受容体への腐敗臭成分の結合によって認知される匂いからできるわけです。
2004年に、嗅覚受容体遺伝子の発見に対して、ノーベル医学生理学賞が授与されました。嗅覚受容体は、7回膜貫通型Gタンパク質共役型受容体ファミリーに属し、ヒトで実際に機能しているものは約350種類知られている。1つの嗅神経細胞には1種類の受容体が発現しているので、これでは匂いは、約350種類しか存在しないことになり、微妙な匂いの違いを区別できなくなります。
実のところ、1つの匂い物質が、複数の種類の嗅覚受容体に同時に結合することで、各情報が脳で統合され、10万種類もの微妙な匂いを嗅ぎ分けているのです。調合などによって匂い物質が複数になると、その感じ方は無数になります。
ヒトは、イヌなどの嗅覚の発達した動物に比べると嗅覚が退化しているとされていますが、それでもこれだけの種類の匂いを感じることができるのです。また、個体によって嗅覚受容体遺伝子の塩基配列や、それが転写・翻訳された嗅覚受容体タンパク質の発現量に違いがあるので、同じ成分でも匂いの感じ方に差が生じます。
木材から出る揮発性成分
新築の家を建てると木の香りが心地よいです。これは、決して、シックハウス症候群をもたらしているホルムアルデヒドなどの有害な揮発性物質ではありません。どうも、新築の匂いは全てシックハウス症候群と結びつけられている観があるようです。
例えば、ヒノキであれば、ヒノキオールやα-カジノールというテルペン類と呼ばれる揮発性物質が、柱などから発せられているのです。これを嗅覚受容体で感知して、木の香りの心地よさを感じているのです。
樹木には、フィトンチッド(phytoncide)という2次代謝産物が含まれています。これは抗菌作用を持つ揮発性物質で、テルペン類、フェノール類、アルカロイド、脂肪酸などの化合物の構造的体系に基づいた区分があります。植物が菌類から身を守るために作り出す低分子化合物です。
木材は、水分を抜くために長年寝かされて乾燥させて、建築後に木材の乾燥による誤差が生じないようにします。しかし、水に比べてれば、沸点の高い2次代謝産物は揮発せずに木材中に残ったままでいるものも多く存在するわけです。
そして、家の普請に伴い、加工されて切られたり、削られたりして今まで露出していなかった部分が空気にさらされて、ヒノキオールなどの揮発物質が漂うことになります。これは、草むしりをすると、植物の匂いがするのと似たような現象です。
コルクマットに使われる不揮発性高分子素材
コルクマットは、表面に貼られたコルクと、土台となるエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)から構成されています。コルクの成分となるものは、スベリンとリグニンからなる高分子で、これは沸点が高いために揮発することないので、嗅覚受容体で検知することはできません。
また、EVAはエチレンと酢酸ビニルが共重合した高分子の樹脂で、これも沸点が高いために揮発することないので、嗅覚受容体で検知することはできません。
従って、新品のコルクマットの匂いというものは、コルクとEVA以外もものが由来ということになります。その候補としては、天然由来のコルクに含まれている2次代謝産物、コルクの粒を固める際に使用した接着剤、コルクとEVAを接着させるための接着剤、その他として加工の段階などで付着したと考えられる揮発性化学物質、が考えられます。
シックハウス症候群が社会的に問題となっているので、著名な検査機関で有害物質の有無を評価した際に、有害物質は含まれていないことが実証されています。ですので、嗅覚受容体で感知される揮発性化学物質は特定できません。
人によって感じ方が異なると思いますが、梱包されている際に籠もった極めて微量な物質が感知されていると考えられますので、暫く陰干しして揮発成分のなくなるようにしていただくことをおすすします。
まとめ
以上より、新品のコルクマットは匂いがするということですが、コルクマットの本体を構成するコルクとEVAは揮発成分ではないので、これが原因ではありません。その他の極微量の揮発性物質が匂いの原因と考えられますので、匂いが気になるようでしたら、暫く陰干ししてみてください。
しかしながら、検査機関では有害物質は検出されていませんので、安全にお使いになれます。ですので、環境にやさしいコルクマットをどうぞお使いください。
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